ふくほのひとりごと。

高専生が勉強したことの自分用メモ。

ベクトル解析 / フレネセレの公式

ふくほです。
ベクトル解析を初めて学んだときに
最初にぶつかった壁
フレネセレの公式について
簡単にまとめます。

1. 必要なベクトルをそろえる

位置ベクトル \vec{p}(t)で与えられる
曲線 Cについて考えていきます。

前提として、単位接線ベクトル \vec{t}
定義しておきます。
 \vec{t} = \frac{\vec{p}'}{|\vec{p}'|}
( \frac{d}{ds}\vec{p} = \vec{p}'と表記しています)
細字の tは変数, 今回の単位接線ベクトル \vec{t}
ベクトルなので混乱しないようにしてください…
(私は初見で大混乱しました)
それと、今回は曲線の長さ s
微分しています。
変数変換が必要なので少し厄介ですね。

1.1. 単位主法線ベクトル

単位主法線ベクトルは C
二階微分の方向の単位ベクトルです。
これを \vec{n}として
 \vec{n} = \frac{\vec{t}'}{|\vec{t}'|}
と表すことができます。
(正規化しないものは単に
主法線ベクトルと呼ばれています)

1.2. 単位従法線ベクトル

単位従法線ベクトルは \vec{t} \vec{n}
外積で定義されるベクトルです。
これを \vec{b}として
 \vec{b} = \vec{t} \times \vec{n}
と表すことができます。
(そのままですね。)

また、外積はその2ベクトルが張る
平行四辺形の面積になりますが
今回の \vec{t}, \vec{n}が張るのは
1辺1の正方形であるため
 \vec{b}の大きさは1になります。
特に正規化しなくてももともと
単位ベクトルになっているわけです。

2. 曲率と捩率

上記の二つのベクトルの考え方がわかると
曲率と捩率を求めることができます。
文字通り、曲率は曲線の曲がり具合を
捩率は曲線のねじれ具合を表しています。
(「捩じれる」でねじれるって読むらしい)

2.1. 曲率

曲率 \kappa |\vec{t}'|で表すことができます。
 Cの接線の傾きが急に変化するほど
曲率は大きくなります。
この Cの接線の傾きの変化が
 |\vec{t}'|というわけです。

よって、 \vec{t}' = \kappa \vec{n}
という関係式が成り立ちます。
これがフレネセレの公式の第1式です。

また、 \kappaの逆数を曲率半径と呼び
 Cの各点を円の一部と
みなしたとき、その円の半径を
表しています。

個人的にわかりやすかった記事↓
math.keicode.com

2.2. 捩率

捩率 \tau \vec{b}' = - \tau \vec{n}
から求めることができます。

単位従法線ベクトルのところで用いた
 \vec{b} = \vec{t} \times \vec{n}
の両辺を t微分すると
(途中式は省略しますすみません。)
 \vec{b}' = \vec{t} \times \vec{n}'
という関係式が現れます。
ここから、  \vec{b}' \perp \vec{t}
がわかります。

よって、 \vec{b}'  \vec{b} ,  \vec{t}
両方に直交することが分かりました。
また \vec{n} \vec{t}と直交しているため
以下の式が成り立ちます。
 \vec{b}' = - \tau \vec{n}
これがフレネセレの公式の第2式です。

 \tauは曲線の長さに対する \vec{b}の変化率を表し
 \tau>0のとき、進行方向から見て右側に
 \tau<0のとき、進行方向から見て左側に
それぞれ曲線がねじれているといえます。

3. フレネセレの公式を完成させる

最後に、 \vec{n}導関数について考えます。
 \vec{b} = \vec{t} \times \vec{n}
より
 \vec{n} = \vec{b} \times \vec{t}
が成立します。

この両辺を s微分して整理すると
 \vec{n}' = -\kappa \vec{t} + \tau \vec{b}
が得られます。
これがフレネセレの公式の第3式です。

以上長くなりましたが
フレネセレの公式を
すべて導くことができました!

位置ベクトル \vec{p}で表される
曲線 Cにおいて
 \vec{t} = \frac{\vec{p}'}{|\vec{p}'|}
 \vec{n} = \frac{\vec{t}'}{|\vec{t}'|}
 \vec{b} = \vec{t} \times \vec{n}
 \kappaを曲率( \kappa = |\vec{t}'|)、 \tau を捩率
としたとき以下の3式が成立する。
(1)  \vec{t}' = \kappa \vec{n}
(2)  \vec{b}' = - \tau \vec{n}
(3)  \vec{n}' = - \kappa \vec{t} +\tau \vec{b}

おわりに

初めてこの公式を目にしたのは
自粛期間だったのですが、
よくわからなくて何度も参考書を
読みなおしたのを覚えています。
今こうやって復習できて、また
理解が深まった気がします。
相変わらず、記事としての体裁は
あまり整ってはいませんが…