大学編入試対策としてやったこと
ふくほです。
高専5年生になり大学編入試を受けました。以前は時系列で記事を書きましたが,今回は科目別・使った参考書別に記事を纏めようと思います。(前の記事では具体的に何を使ったのかを書いていませんでした)おそらくこれから編入を控えている高専生の方々にとっては,以前投稿した体験記よりもこっちの記事の方が有益です。まあ,もしよかったら体験記も読んでみてください。↓
fukuro-hoho.hatenablog.com
私が編入試で対策したのは数学,物理,化学,英語です。これから,科目ごとに使った参考書などを書いていこうと思います。
勉強を始めた時期
勉強を始めた時期ですが,3年生の春というのが一番正確な気がします。というのは,ずっと編入試のことは考えていたのですが,1, 2年生の時は体調不良が続いておりきちんとした勉強ができていなかったので……。勉強してるといっても,ちょっとカフェで授業の予習をしたり,趣味で高校数学の参考書を読んだりする程度でした。これは受験勉強とはいえません。
数学
共通数学
まず,どこでも出してくるであろう数学です。のちに応用数学のことも書くので,ここでは共通数学と書きます。共通数学はどこの大学でもあるし,3年生で習う微積・線形代数をひねった問題が多いので,早めから対策しやすいです。
私がメインで使ったのはこれです。大学編入への数学問題集。
amzn.asia
大学編入界隈ではかなりメジャーな問題集です。大問数は応用数学合わせて270。難易度がA,B,Cに分けられており,C問題になると東大の問題とかが平気で出てきます。私はあまり読まなかったのですが,解説も分厚くおすすめです。私は2年生の終わりごろに買って,3年生のオンライン授業中(前期ほとんどオンラインだったので)に解いたりしていました。すぐ解ける問題は眺めるだけとかにしていましたが,手ごたえのある問題は7,8周しました。
私が愛用した微積の参考書として,これも挙げておきます。(実教出版の微積II)
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3年生の数学の授業の教科書でした。ロピタルの定理の証明とか,微積分の根本的な考え方が丁寧に書かれているのでとてもよいです。私は5年生になってからこの本の魅力に気づき,数学の根本を理解することに努めました。
次はこれです。(編入数学過去問特訓)
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徹底研究(後述)を仕上げた人をターゲットにしてるっぽいです。これも大学編入のための数学問題集と同様,問題の難易度がA,B,Cに分けられています。C問題は,そこそこの難易度です。私は,5年生になる前の春休み(4年生の3月)に購入し,とりあえずわからない問題がなくなるまで解きました。かなり手ごたえがあります。
また,マセマシリーズがわかりやすいと聞いたことがあったので読み込みました。かなりわかりやすいし,よくまとまっているのでお勧めです。特に常微分方程式。統計学は,お気持ち程度でいいかも。
(マセマ線形代数)
(マセマ 常微分方程式)
https://www.amazon.co.jp/%E5%B8%B8%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%9F-%E6%94%B9%E8%A8%828-%E9%A6%AC%E5%A0%B4-%E6%95%AC%E4%B9%8B/dp/4866152192/ref=d_pd_vtp_sccl_2_4/357-5047108-7252804?pd_rd_w=at9HD&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=AWK2W5WDXNVM0Z8H1AW2&pd_rd_wg=Zv88h&pd_rd_r=b5271625-0a7b-46e2-b14e-aefd44ef40a0&pd_rd_i=4866152192&psc=1
(マセマ 確率統計)
本以外にも,Twitterに数学に詳しい方がたくさんいらっしゃるので,よく教えてもらっていました。
また,私は買っていないけど編入界隈でメジャーなものものせておきます。
まず徹底研究。
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大学編入のための数学問題集かどっちかでいいと思います。また,徹底研究が難しく感じた人は,編入数学入門っていうのがいいらしいです。私は持ってません。
徹底研究に関連して,最近微積に特化した徹底研究と,線形代数に特化した徹底研究が出たそうです。パラっと見たことしかありませんが,丁寧そうでした。(どっちも持ってないけど)
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応用数学
応用数学は,大阪大学の入試(数理科学コースの専門科目)で使いました。大きく分けてベクトル解析,複素関数論,フーリエ解析の3つがあります。
まずは教科書をたくさん読んで,付属の問題集を何周かしました。(教科書↓)
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付属問題集,応用問題として普通に東大の問題を載せてきたりして面白かったです。
また,あまり本質的な理解が得られていない気がしたので,Twitterの方々とゼミをしました。複素関数論のゼミと,フーリエ解析のゼミの2つでした。使った本を載せておきます。
ただ,私が参加したゼミは工学部への編入対策としては難しすぎだった気もするので,学校で応用数学の授業があるならその付属問題集だけで充分足りると思います。
(神保複素関数入門)
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また,独学用にと思いマセマを購入しました。かなりおすすめです。
(マセマ複素関数)
物理
編入試験の物理では,初等力学,電気磁気学,熱力学が頻出です。私は熱力学はないので(阪大にあったけど,力学と電磁気を取れば解かなくてよかったので)何もしていません。
初等力学
まずは,高専生に好かれているこの本です。
(大学生の初等力学)
大学生の,といいつつもかなり高専生に扱いやすい内容・解説になっています。私はこれを3年生の終わりくらいに買って,ゆっくり回しました。なかなか解けない問題は十数回解いたと思います。私が持ってるのは改訂版じゃないやつです。
続いて,理論をしっかり勉強するのにおすすめの本がこれです。
(基幹講座 力学)
学部低学年を対象に書かれているらしく,ある程度の微積・線形代数の知識があればすっと理解できるいい本です。京大を受験することを考えているなら,この本で保存力の証明といった理論的なところも詰めていくといいと思います。この本には本当に出会ってよかったなぁと思っています。発展のところも読むとかなり面白いし。
私が使ったのはこの2冊だけです。あとは学校の試験(応用物理って科目)の予想問題を定期試験前に3周くらいしてたので,基本問題は手が勝手に動くようになってました。
電気磁気学
初等力学に続き,電磁気もこの本がおすすめです。
(大学生の電磁気学)
最近手に入れることすら難しくなってるみたいですね……めっちゃ高い。
この本は内容はすごくいいのですが,誤植がかなり多いので正誤表が見られるリンクも貼っておきます。
また,あまり使ってませんがサブでこの本も買いました。
(電磁気学演習 (理工基礎物理学演習ライブラリ))
これはちょっと難しいかな~という印象でした。院試にも使えると聞いて頑張って演習したのですが,情報系の院試に電磁気がないことに最近気づいて虚無い。
とはいえ,ガウスの定理とか鏡像法とかのパターンに縛られない万能な使い方を教えてくれるのでかなりいい本だとは思います。初見でいきなり解くのはお勧めできませんが…。
あとは,学校の授業で使った教科書と,隣の電気工学科が使ってる教科書(もらい物)を持っているので,気になることがあればぺらぺらしていました。一応リンクも貼っときます。
電気磁気学 (電気学会大学講座) | 直平, 山田, 誠, 桂井 |本 | 通販 | Amazon
電磁気学 | 亨, 宇野, 宏, 白井 |本 | 通販 | Amazon
化学
私が受けた中では京大でのみ試験がありました。化学はやる気が出ず,かなり後回しにしてしまいましたが,4年の3月時点でまあまあ余裕があったので始めました。化学を捨てて受かっている人は多いですが,京大では化学の配点は物理と同じとまあまあ高いため,数学でちょっとミスをした時のカバーに使えるためやっておいた方がいいです。私は多分化学捨ててたら落ちてたので……。
理論化学
まずこれ。
(大学への橋渡し 一般化学)
先輩方が推していたので同じやつ買いました。良いです。章末問題は4周くらい回しました。解答は公式がHPに載せてます。結合軌道とかの話は,ヨビノリの動画が最高にわかりやすいです。私は最後の方全部スクショして試験前日まで見てました。混成軌道の話とかは編入試に出しやすいしそんなに難しくないので,しっかりやっておくといいかもしれません。
無機化学
院試とかにも使えそうな演習問題集とかを買ってみましたが,編入試で出そうな難易度は一般化学でカバーできていたのでやめました。理論化学と無機化学の違い,よくわからん……。
R3年の京大の編入試には高校化学ちっくなイオンの色の問題が多く出題されていましたが,あのあたりはどうやってカバーしたらいいかわからなかったので諦めました。炎色反応だけ,地元の花火大会の時に花火と炎色反応の色一覧を交互に見て覚えました。実物を見ながらだと覚えやすいのでおすすめです。花火綺麗だし。
有機化学
強敵!!私は春休みにとりあえずこれを頑張りました。
(困った時の有機化学 上下)
上巻は12章以外はほぼ全部,下巻は1, 4, 5章を読み,暗記シートを作って覚えました。特に芳香族は京大が出しがちなので入念に対策しました。私の年は出なかったけど。
先輩でマクマリーを使っている方が多いのですが,話によると概説でもまあまあ難しいし頭に入ってきにくいらしいのでこれを使いました。過去にこの本で京大合格した方もいらっしゃるらしいので。
また,本だけだとあまり面白くないので,YouTubeでもろぴーの解説動画をお昼ご飯を食べながら見たりしていました。1本が短いので見やすいし,わかりやすくておすすめです。
最後に演習問題集も買いました。
(有機化学演習 基本から大学院入試まで)
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凄く高かった……あとすごく難しかった……非化学系がいきなり攻めるとつらいので,まずは例題を電車の中で読むとかするといいと思います。私は6章までを2周だけ解いて,あとは読んでました。
わからないことがあったらTwitterの化学系の方に質問し教えてもらっていました。おかげさまで……本番の有機化学は8割くらい分かった気がします,感謝。
物理化学
熱力学と化学電池とかの分野が合わさってる感じなのが物理化学という認識です。私はとりあえずこれを使いました。
(単位の取れる物理化学ノート)
この本を買おうとしたとき,電子書籍でめっちゃポイントが返ってくるキャンペーンをやっていたので電子書籍で買い,iPadで読んでいました。わかりやすいし深さもちょうどいいと思います。京大は,クラウジウス・クラペイロンの式みたいな複雑に見えるような式は説明問題で出してくる傾向にあるので,暗記よりも説明重視で勉強しました。
そしてどうしても外せないのが,やっぱりヨビノリ。熱力学の連続講義もあり,2, 3周しました。
あともう1つ,わかりやすいYouTubeチャンネルがあったので,それも載せておきます。
このチャンネルはかなりわかりやすいし,板書の見やすさ最高なのでスクショしてたくさん見てました。
英語
中学時代に英語が得意だったので,ずっとさぼってました……。帰国子女とかじゃないのに……。とりあえず,単語は肝なので忘れないようにと,大事な試験の前(TOEICとかTOEFLとか)には鉄壁をQuizletで詰め込んでました。
かなり網羅性がよく,難易度もそこそこなので重宝しています。これからも使おうと思います。
京都大学の編入試では,英語がTOEFLのスコアに置き換えられます。TOEFLはSpeakingやWritingで人間の採点者もいるからか,245米ドル(米ドル固定なので,円安が加速すると最悪)と受験料がかなり高く,何度も受けられる試験ではありません。一度でなるべくいいスコアとる気持ちで頑張りました。
まず使ったのが単語帳。TOEFLはアカデミックな話題が多く出題されるため,鉄壁だけでは足りません。ここでアルクの単語帳を買いました。(英検でお世話になっていたので圧倒的信頼感がありました)
アルクの単語帳はすごく見やすく使い勝手が良いので,英検を受けるときも度々お世話になっていました。とりあえず3800単語を詰め込みました。
演習問題はこれを使いました。
買った理由は簡単で,ジュンク堂に行ったときにあった中で一番コスパがよかったからです。初めてこれを解いた時,TOEFLの問題形式にめっちゃ驚いたのを覚えています。体力が足りません。
あとは,にゃんこ先生の解説サイトをたくさん見て,本番のシミュレーションをしていました。
問題集の回し方とか
問題集をn周する,の定義が人によって違うと思うので,私の中の定義をここに書いておきます。
私は,初見で自力で解けた問題は基本放置してます。できる問題にばっかり時間を割いても無駄なので。解けなかった問題に付箋を貼り,3日後くらいに付箋が張られている問題をリベンジして,解けたら付箋を折って,1か月後くらいにまた付箋を戻して……を繰り返していました。付箋がある問題を解きなおすのが私にとっての1周です。最後の方とか3問くらいしかありませんでした…()
とにかく,勉強の目的は知識をつけて苦手をつぶすことです。問題集を解くことが目的になったらだめです。となると,一度自力で解けた問題はしばらく放置して,苦手な問題にいっぱい時間を使う方がいいのかなぁと思います。時間はかかりますけどね。早めに始めたらいい話です。
また,有機化学のところで暗記シートの話をしましたが,このアプリをiPadで使っていました。
ちょっと重たいところもあるけど,ノートで書いたものをPDF化して,それをインポートしたらルーズリーフに赤シートかぶせているのと同じになり便利です。赤シートも簡単にずらせるし。