電気回路 / 影像パラメータを見つめる
ふくほです。
二端子回路対における影像パラメータの理解がなんとなくできた気がするので, 忘れないうちにまとめておこうと思います。
一応, 大雑把にですがFパラメータの導入から書きます。この概念はフィルタ設計で重要になるのでしっかり押さえておきたいです…。
1 Fパラメータ
1.1 Fパラメータとは
画像のように, 入力側に, 出力側にが置かれた二端子回路対を考えます。電流, 電圧の向きは図の通りです。
このとき
と表した時, をFパラメータ(基本パラメータ, 伝送パラメータ, 四端子定数, 継続行列)と呼びます。このパラメータを考えることで, 様々な回路の性質を見ることができます。
1.2. Fパラメータの求め方
先程の行列をふたつの式で表すと
と書けます。よって
はとしたときの
はとしたときの
はとしたときの
はとしたときの
と考えるとそれぞれのパラメータを求めることができます。
電圧を0とするときはその端子を短絡, 電流を0とするときはその端子を開放してやるとよいです。
Fパラメータの場合開放・短絡するのは出力側の端子だけでよいですね。
また, 相反二端子回路対ではとなります。つまりのうち3つが決まればもう1つは計算によって求められるのです。
めちゃくちゃ大雑把ですがパラメータについてはここまでにしておきます…
2 影像パラメータ
2.1 影像インピーダンス
上の図のように, 端子にを接続したときに端子からみたインピーダンスが, 端子にを接続したときに端子からみたインピーダンスがであるようにしたとき, を影像インピーダンスと呼びます。それぞれのインピーダンスが鏡の影像のような関係にあるからこう呼ぶんだとか。
では, 影像インピーダンスを求めていきます。
オームの法則から, 影像インピーダンスはそれぞれ
と書けます。次にをFパラメータで表した形に変形してみます。
次にであるので
が成立することがわかります。
また(1)式の両辺に,左からFパラメータの逆行列をかけてあげると より
となります。先程と同様にしてみます。
また, 右側の端子を入力としたときは電流の向きが入れ替わるため
とマイナスがつくことに注意します。
(2)(3)式から
が得られます。
二式の和を取ると
次に二式の差を取ると
が得られます!ここから
と求めることができました。
またFパラメータが対称行列である場合であるため
となります。
ここでは負の影像インピーダンスは考えないものとしています。
2.2 伝達定数
私はここの理解に苦労しました。
よし頑張るぞ。
先程の図の端子にを接続したときのとの比をと置きます。(これは短絡して電流を0としていないため, 影像パラメータのとは異なります。)影像パラメータを用いて式を変形してみます。
電流でも同様に, との比をと置いて計算すると
が導かれます。
伝達係数は, このとの相加平均, を取ります。
両辺の自然対数を取って
このとをまとめて影像パラメータと呼んでいます。
または実数とは限りません。と表すとを減衰定数, を位相定数と呼びます。
また端子での電力を, 端子での電力をとすると, 定義から
と表すこともできます。つまりによって入力と出力の電力の比を得ることができるのです。
任意のにおいてであるので, は電力比を求めるうえでは貢献しません。その代わり, であるため, このが位相定数と呼ばれるのも納得がいくと思います。
また出力が入力に対して減衰していないとき,
が得られます。
両辺の絶対値を取って整理すると
を得ることができます。
したがってFパラメータを用いると
これはフィルタ(LPF, HPFなど)を設計するうえで重要な概念になります。
最後に
最後, ごちゃごちゃになってしまった…
とりあえずこれで終わりますが、また書き直すと思います
近いうちにフィルタの記事も書きます(決意)。
参考図書
お世話になった本には感謝の気持ちを忘れないように, ここに記しておきます。
・電気回路論(電気学会大学講座), 2008/5/1, 3版第1刷
・電気回路(2)回路網・過渡現象編, 2019/01/25 初版第30刷
この前書いたテブナンの記事と同じです。二冊目が続編になっただけかな。